REVIEW
HIU Books
第17回図書館賞
死後の恋
ロシアを舞台に書かれたこの作品。戦争の残酷さやそれに伴う悲劇が主人公を絶望に陥れる。 この作品は、主人公が”生きている”ことを……
ロシアを舞台に書かれたこの作品。戦争の残酷さやそれに伴う悲劇が主人公を絶望に陥れる。
この作品は、主人公が”生きている”ことを感じさせるものだと感じた。戦争の残酷さを目の当たりにした主人公の衝撃や呼吸までが感じられるよう。
比較的短い頁数中に詰め込まれた文字と残酷さの中に、夢野久作の語彙とイラストの美しさがより生える。
特に注目してほしい部分は、最後の一ページ。主人公の悲壮に暮れた心の痛みが伝わってくるお気に入りの一文が書かれている。
これ程読み手に感情を伝えられる文はなかなか無いのではないだろうか。
文字が生きている、と思える作品の一つだと思う。