REVIEW

HIU Books

第18回図書館賞

「手紙屋」 : 僕の就職活動を変えた十通の手紙

【最優秀賞】この作品は就職活動に苦悩している主人公・西山諒太が「手紙屋」との手紙のやり取りを通して成長していく物語である。

この作品は就職活動に苦悩している主人公・西山諒太が「手紙屋」との手紙のやり取りを通して成長していく物語である。 温かく、そして前に進もうと思える力をくれる作品だ。「あなたが就職する先は”将来を制約する場所”ではない」という手紙の一文が心に残った。目の前の就職活動に必死になっていた私に、就職は終わりではなく人生のスタートであり、その先にも続いていくのだと気づかせてくれた。物語の中で困難に直面する主人公の姿は、これからの自分と重なって見え、共に困難の乗り越え方を探しているような気持ちになった。今のこの気持ちも少し時間がたてばきっと「埃をかぶって」しまうだろう。そして将来、困難に直面したときには、きっと立ち止まってしまうだろう。それでも、そんなときにはこの本を思い出して、何度でも読み返したいと思う。これから人生の分岐点である就職を迎えるすべての人に、ぜひ読んでほしい一冊である。

第18回図書館賞一覧