REVIEW
HIU Books
第18回図書館賞
成瀬は天下を取りにいく
【敢闘賞】「成瀬は天下を取りにいく」は、中学2年生の主人公・成瀬あかりの大胆で痛快な行動力に圧倒される一冊だ。
「成瀬は天下を取りにいく」は、中学2年生の主人公・成瀬あかりの大胆で痛快な行動力に圧倒される一冊だ。常人なら思うだけで終わってしまうようなことにも果敢に挑み、思い立った瞬間に即行動へ移す姿はとにかく爽快。そのエネルギーは彼女の周囲の人々だけでなく、読者である自分にも伝播し、「自分も何かにチャレンジしてみよう」と前向きな気持ちを呼び起こしてくれる。大津の人々がいつの間にか成瀬のペースに巻き込まれていく様子もテンポよく描かれ、成瀬の求心力の強さに思わず笑みがこぼれる場面も多い。特に、地元のベテラン勢との掛け合いや、同級生探しのエピソードに垣間見える“現代とのギャップ”が印象的で、物語に独特の味わいを与えている。気づけばページがどんどん進み、一気読みしてしまった。読後感は清々しく、いつか舞台となる膳所を訪れてみたくなるような、最高に面白い作品だった。
